韓国企業を訪問する前に知っておきたいビジネスマナー
初対面の挨拶から名刺交換、会議、会食、訪問後の連絡まで。初めて韓国企業を訪れる海外の出張者に向けた実務ガイドです。
FLASH KOREA · 2026-10-14

初めて取引先を訪問するときは、会議資料以外にも気になることがあります。何分前に着けばよいのか、名刺はいつ渡すのか、初対面の担当者をどう呼べばよいのか。慣れない場では小さな行動にも迷いが生じます。
ビジネスマナーには決まった答えがあるように見えても、現場はさまざまです。役職や礼儀を重視する組織もあれば、名前で呼び合って自由に意見を交わす会社もあります。同じ会社でも、正式な会議と実務の打ち合わせでは雰囲気が違うことがあります。
すべての作法を暗記するより、初対面で押さえる基本を知っておくと役立ちます。企業訪問、挨拶と名刺交換、会議、会食、その後の連絡を場面別に整理しました。
初めて訪問するときの基本: 相手の時間を尊重し、希望する呼び方と仕事の進め方を確認して、合意した次の行動を記録する。
訪問前:実際の打ち合わせ場所を確認する
時間を守るのは基本です。ただし初訪問では、建物に到着する時刻と会議室に入る時刻を分けて考えましょう。
大型オフィスビルや企業の社屋では、来訪者登録や入館証の発行が必要な場合があります。警備の厳しい研究所や生産施設では、来訪者専用の入口が指定されることもあります。
まず登録にかかる時間を確認します。会議開始の10~15分前には手続きを終えて待機できるように移動を計画し、複雑な保安手続きがあればさらに余裕を持ちましょう。早く着きすぎた場合は、すぐに対応を求めず、約束した時間に合わせて案内を受けるのがよいでしょう。
訪問前に確認する情報
会社名 · 実際の会議場所の住所 · 建物と階数 · 入館手続き · 担当者の連絡先
会社サイトの本社所在地と招待状の会議場所が一致しているか確認します。外部の会議室や別の事業所で開催される場合もあります。
会議で使う言語、通訳の要否、服装、持参する身分証も確認すると、現場の混乱を減らせます。社内を撮影したり会議を録音したりしたい場合は、先に許可を得ましょう。
初対面の挨拶:握手と軽いお辞儀
軽くお辞儀をして挨拶するのは、無難な始め方です。握手は状況や相手によります。相手が先に手を差し出したら自然に応じ、握手なしで挨拶しても問題ありません。
軽く目を合わせて簡潔に自己紹介し、所属と名前を明確に伝えましょう。
複数の参加者がいる場では、全員にむやみに握手を求めず、紹介する人の案内に従うとよいでしょう。役職の高い人から挨拶する慣例が残る組織もありますが、実際の順番は参加者の役割や会議の雰囲気によって変わります。
名刺交換:両手で渡し、受け取ったら目を通す
名刺交換は韓国のビジネス面談でもよく見られます。相手の所属、名前、役職を確認する最初の段階でもあります。
相手が文字を読める向きにして、両手で名刺を渡すと丁寧です。受け取るときも両手を使い、名前と役職を確認しましょう。
デジタル名刺やメールで連絡先を交換する場合もあります。紙の名刺を用意しつつ、相手が案内する方法に合わせればよいでしょう。
受け取った名刺は見ずにしまわず、名前と所属に少し目を通します。
会議中は相手の名前を確認しやすい位置に置き、終了後は丁寧に保管しましょう。
呼び方:名前より先に役職を確認する
韓国企業では、名前に役職を付けて呼ぶことがよくあります。
「김민수 팀장」(キム・ミンス・チーム長)、「이지은 과장」(イ・ジウン・クァジャン)のように、名前の後に役職を付けます。「과장(クァジャン)」は韓国の役職名です。直接呼びかけるときは「김민수 팀장님」「이지은 과장님」のように、敬称の「님(ニム)」を付けることが多くあります。
ただし、すべての会社が同じ呼称を使うわけではありません。フラットな組織文化を目指して、役職ではなく「マネージャー」「リーダー」「님」などに呼び方を統一する企業もあります。
初対面では、メールの署名や名刺に記載された役職を参考にしましょう。相手から別の呼び方を案内されたら、それに合わせます。
役職が分からないのに職位を推測するのは避けたほうがよいでしょう。名前を確認して丁寧に呼ぶか、適切な呼び方を尋ねるほうが確実です。
呼び方に迷ったら
「어떻게 불러드리면 될까요?」(どのようにお呼びすればよいでしょうか)と短く尋ねましょう。英語の会議なら “How would you like me to address you?” と確認できます。韓国語の役職の英訳だけで、職位や決裁権限を推測する必要はありません。

会議中:返答と決定を区別する
説明の内容だけでなく、誰がどの役割を担っているかも把握しましょう。
実務担当者が内容を説明していても、最終判断には別の部署や責任者の承認が必要な場合があります。複数部署が関わるプロジェクトでは、会議参加者がそのまま最終決裁者だと考えないほうがよいでしょう。
前向きな反応と、実際の合意も区別する必要があります。
「検討します」「社内で相談します」は、提案が確定したという意味ではありません。韓国企業では、すぐに否定せず追加検討後に回答する場合もありますが、こうした表現を一律に解釈してはいけません。
重要な内容は会議の最後にもう一度確認しましょう。
決定事項、追加検討事項、担当者、回答予定日を分けて記録します。
口頭で話した内容を会議後にメールでまとめると、認識の違いを減らせます。
終了前にもう一度確認する
「今日決まったことと、社内検討が必要なことを分けて確認してもよいでしょうか」 と尋ねると、次の行動を整理しやすくなります。回答日は「来週」ではなく、具体的な日付とタイムゾーンで記載しましょう。海外チームと共有する場合は、韓国時間(KST)かどうかも明記します。
会食:席順、支払い、お酒の付き合い方
会議の前後に昼食や夕食を共にすることがあります。会議室より気軽に話せる場ですが、初対面なら知っておきたい点があります。
正式な会食では、主催者が席を案内することもあります。席が指定されていれば従い、特に案内がなければ自然に着席して構いません。
招待した側が食事代を負担する場合もありますが、必ずそうとは限りません。外部顧客や公的機関の関係者が出席する場合は、接待、贈り物、食事代に関する社内規定や関連法令も考慮する必要があります。
お酒を勧めたり飲んだりする文化も変化しています。飲まない場合は、丁寧に断って構いません。「감사하지만 저는 술을 마시지 않습니다」(ありがとうございます。でも私はお酒を飲みません)、英語では “Thank you, but I don’t drink alcohol” などと短く伝え、別の飲み物を頼みましょう。相手にも飲酒を強要しないことが適切です。
食事制限、アレルギー、菜食の希望は、メニューを決める前に主催者に伝えます。初訪問に贈り物は必須ではありません。持参したい場合は、先に相手企業が受け取れるか確認しましょう。公的機関の関係者などが出席する場では、韓国の「청탁금지법」(不当な請託や金品等の授受を禁じる法律)などによって制限される場合があるため、担当者への確認なしに食事や贈り物を提供しないようにします。
会議後:お礼より大切なのは次の予定
会議後は、短いお礼とともに議論した内容をまとめてメールで送りましょう。
初対面では、同じ話を聞いていても理解が違う場合があります。特に見積もり、契約条件、日程などの重要事項はメールに残すとよいでしょう。
例えば「来週までに資料を送ります」とだけ話した場合は、具体的な日付と送付方法を確認します。相手が社内検討を行う場合は、担当者と回答予定を整理しておきましょう。
お礼を長く書く必要はありません。何を話し、次に何をするのかを明確に伝えることが重要です。
フォローのメールに残す三つのこと
- 合意内容: 今日確定したことと、まだ検討中のこと
- 担当者: 資料を送付する人、回答する人
- 次の予定: 具体的な日付と送付方法
長いお礼より、双方が同じ次の行動を理解しているかの確認に集中しましょう。
場面に応じて変わるビジネスマナー
すべての企業訪問で同じ方法が正解とは限りません。会議の目的と相手の組織文化を併せて考えましょう。
初めての取引先との面談
- 参加者の名前と役職を確認し、名刺と会社紹介資料を準備。面談の目的と主な議題を整理する。
大企業・公的機関への訪問
- 事前登録と入館手続きを確認し、身分証と入館証を準備。建物内の保安規則を確認する。
スタートアップ・実務での協働
- 希望する呼び方とメール・メッセージツールなどの連絡手段を確認。仕事の進め方と意思決定の手順を把握する。
海外パートナーとの会議
- 会議言語、通訳の要否、参加者の役割と意思決定担当者を確認。資料とフォローの日程を準備する。
企業イベント・カンファレンス
- 事前登録と入場方法、交流プログラムと日程、会場の場所と現地担当者を確認する。
工場・研究所への訪問
- 来訪者専用入口と手続き、撮影・保安上の制限、安全教育や保護具の着用要否を確認する。
正式な行事では服装や挨拶の順番が大切な場合があり、実務会議では正確な日程や迅速な資料共有のほうが重要な場合もあります。
相手の文化を決めつけず、訪問目的に合わせて確認事項を選びましょう。
よいビジネスマナーは、複雑なルールを暗記することから始まるものではありません。場所と参加者を確認し、相手の時間を尊重し、合意した次の行動を確実に守ることが基本です。
最終確認: 2026-10-14

